【海外就職】ベトナム在住者に聞いた!現地の給料、ぶっちゃけいくら?
近年、海外就職という言葉をよく耳にします。
私は2011年からベトナムに住んでいますが、これもまた現地企業への就職がきかっけ。それから現在まで「人材紹介会社から勧められてやって来た」という声は常に一定数ある気がします。海外への就職においては、いろんな不安があるでしょう。気候、食文化、現地の同僚との人間関係…挙げだすとキリはありませんが、やはり優先順位の高いものとして「給料」が挙がるかと思います。
そんな海外勤務における給料…ぶっちゃけ、いくらなの!?
ベトナムに焦点を当てて、そんな聞きづらい質問をあえて聞いてみました。
もちろん現地の物価水準も反映されているでしょうし、これが「海外就職」に対して一概に当てはまるものではありませんが、一例としてお読みいただければ新たに見えてくる世界があるかもしれません。少なくとも、国を横断して共通する特徴はある気はしています。それはまた、末尾のまとめにて~!
聞いてみた質問はこんな感じです
質問はこの通り。給料のみではなく、生活風景を見るべく、食事の内容や贅沢に感じることなども聞いてみました。
- 給料(月)について教えてください
- 福利厚生(保険/家賃補助/タクシー利用無料など)があれば教えてください
- 食事の割合を教えてください(自炊/ローカル/日本食などの外国料理…など)
- あなたの「生活の中の贅沢」は何ですか?
- 収入の使い道の割合を教えてください(貯金/飲食/交際費…など)
※回答のフォーマットは最低限に合わせ、いただいた回答をなるべくそのまま掲載。
1人目~IT・会社員~
- 給料(月)
1500ドル - 福利厚生
家賃補助(750ドル)、社会保険、社員旅行 - 食事の割合
自炊:40%
ローカル:20%
日本食などの外国料理:40% - 生活の中の贅沢
衣食住で普段よりもお金を使う。何もしない。 - 給与の使い道
貯金:60%
飲食:30%
交際費:10%
家賃が手厚い…!これ、事実上の2250ドルってことですよね。ベトナム都市部で750ドルだと、結構いい部屋に住めると思います。広さはおよそ50平米のスタジオタイプとのことでした。いいなぁ。日本の都市部だと、初任給でこの給料の会社もあるのでしょうが、物価が安いので半分以上を貯金できることも大きいですね。
2人目~人材紹介・会社員~
- 給料(月)
1700ドル - 福利厚生
海外保険、通勤用タクシーカード(行き帰りのみ) - 食事の割合
週一で自炊、ランチはローカル、晩御飯はベトナム料理以外が多いです。 - 生活の中の贅沢
海外旅行(東南アジアがメイン) - 給与の使い道
家賃:30%
食費&交際費:30%
貯金:30%
その他:10%
こちらの方は、贅沢に「海外旅行」を挙げられています。そうなんです、ベトナムは東南アジアを観光するときに経由地として使われることが多い、在住者ならどこへでも気軽に行けるということ!事実、タイ、台湾、シンガポール、あたりなら往復2万円未満で行けちゃうし(時期にもよります。あとベトナムでもホーチミンからの場合)、カンボジアならなんとホーチミン~プノンペン間はバスで往復1000円!福利厚生に「タクシーカード」がありますが、会社によっては休日の移動の使用も許されていると聞いたことがあります。
3人目~システム開発・会社員~
- 給料(月)
ベトナムで1100ドル、日本で23万円。 - 福利厚生
・日本での厚生年金・社会保険、現地の駐在員向けの保険。
・年1回の一時帰国(航空券) - 食事の割合
自炊:80%
外食:20% - 生活の中の贅沢
ネイルサロン、エステ、まつげエクステなど。 - 給与の使い道
飲食:10%
交際費:15%
美容健康:10%
服など買い物:10%
旅行:20%
貯金:35%
日本からの出向のような形の場合、二カ国それぞれから給料をもらっているケースもあるらしい。1100ドルと23万円なら、執筆現在だと35万円くらい?なかなか良いお値段です。周りに聞く限り、ほとんどの在住者が年に一度は帰っているので、ここで一時帰国用の航空券がある点はありがたい。ベトナム人女性は美容への意識が高いので、美容系サービスの価格帯も安く、在住日本人女性には嬉しい。ご本人がおっしゃるには、「日本では8000円とかするが現地だと2000~3000円、帰国したらもう出来ない!」とのことでした。
4人目~留学生~
- 給料(月)
5000円~2万円(時給13ドル) - 福利厚生
なし - 食事の割合
居候先の家庭で食べる:60%
外食:40% - 生活の中の贅沢
・いい雰囲気のカフェやレストランでまったり
・美味しいミルクティーを家族のみんなで飲む
・日本食を食べに行く - 給与の使い道
食費:40%
学費:40%
ガソリン代:10%
その他:10%
ここで社会人ではなく、あえて留学生の方にも訊ねてみました。社員ではなくアルバイトということになります。日本語教師として時給13ドルで働いて、月に多くて総額2万円。ベトナムでも生活をやりくりするには厳しい金額ですが、居候なので家賃はナシ!食費も基本はナシ!これは大きい。家族のみんなでミルクティーを飲む、という贅沢はベトナム人学生風でいいですね(ご本人は日本人ですが)。
5人目~日本語教師~
- 給料(月)
13,500,000ドン(およそ600ドル) - 福利厚生
・学校の寮に住めば家賃無料(自分で借りた場合は全額自費)
・先生の日、テト休みなどに50万ドンのボーナスあり。 - 食事の割合
最初のおよそ一年間は、
ローカル:80%
自炊:15%
日本食:5%最後の方は、お腹を壊したことで、ローカルを控えめにしました。自炊:60%
ローカル:30%
日本食:10% - 生活の贅沢
日本食(特にレタントン通り(日本人街)にて)、マッサージ、タクシー - 給与の使い道
家賃:25%
食費:25%
娯楽(映画、マッサージ、買い物など):25%
旅行、習い事、航空券代(一時帰国)、貯金:25%
職場によって本当に幅広いのですが、現地の日本語学校や大学に勤務する場合、相対的に低めの給与になりがちな職業が日本語教師。一方で社員を日本語人材を教育する日系企業などにおいては、現地採用(1000ドル~2000ドル程度)と変わらない給料の場合もあるそうです。ただ、現地の学校だと、ベトナムに根を張っているということでしょうか、「先生の日」(ベトナムで設定されている、先生を敬いましょうという趣旨の日)やテト(旧正月)のときにボーナスが出るのですね。これについては私も初耳でした!
6人目~飲食・経営者~
- 給料(月)
およそ2,000万ドン(およそ900ドル) ※必要に応じて使っている - 福利厚生
家賃(520ドル)、海外保険 - 食事の割合
自炊:0%
ローカル:40%
日本食:50%
その他:10% - 生活の中の贅沢
休みの日に一切の仕事がないこと - 給与の使い道
飲食(スタッフとの食事を含む):40%
交際費:40%
貯金:20%
このほかにも経営者の方に聞いてみたのですが、毎月の給料は柔軟に変動しているという意見が多かったです。贅沢が「休みの日に一切の仕事がないこと」とあるように、とくに飲食関係の方は休みが少ないという印象なので、経営も店長もこなす方はあまりお金を使う機会が少ないのかもしれません。
7人目~物流・会社員~
- 給料(月)
ベトナムで3000ドル、日本で30万円。 - 福利厚生
・海外保険
・年2回の一時帰国(航空券)
・会社借上住居
・社有車利用
・子供がいる場合は学費補助 - 食事の割合
週末を含めておよそ1/3は接待。日本食や洋食が多いです。あとは一人も含めて日本食が多いですね。日本からの出張者の接待用のネタも含め、ローカルも好きで割と行ってましたが、周りでは一切行かないという人も珍しくはありません。 - 生活の中の贅沢
国内・海外旅行、いいホテルでの宿泊。
外食。あとは高い輸入ワインを買うとか。 - 給与の使い道
食費:10%
交際費:10%
娯楽(旅行):15%
貯金:65%
ここで一気に金額が跳ね上がります!こちらの方は、いわゆる駐在員ですね。これまで紹介した中では給料がもっとも多く、かつ福利厚生も手厚い(一時帰国用の航空券も二回!)。ただ、食事の割合からも、責任のある立場なだけあって接待が多いことが伺えます。個人的な話ですが、私は人付き合いの得意な人間ではないのでストレスが溜まるかもしれない…(苦笑)。でも、毎月の貯金が30万円以上というのは、さすがにうらやましい…。これは無意味な羨望ですね、失礼いたしました!
なお、「日本に戻ったら(基本給が)半額近くになった」とのこと。やはり海外だと随分と給料が高くなるそうです。それまで紹介した中ではどちらかといえば「ベトナムの物価に合わせて安くなる」という印象だったのに、なぜ?それは今回の記事で一番言いたいことなので、まとめにて。
同じベトナム勤務でも、背景によって給料はまるで違う!「現採」と「駐在」について
いかがでしたでしょうか?
さすがに人の給料を教えてもらったことは私にとってもはじめてでした。勤務環境によって給料の違いがあることは想像していましたが、それでも福利厚生の違いは思っていた以上に大きいんだなという印象。「いやいや、そもそも同じベトナムでも10倍くらい差があったりするけどこれは何なの?」と思われている方もいるかもしれないので、ここについては私なりの回答をさせていただきます。
これは、いわゆる「現採(現地採用)」と「駐在員」による違い。各社によってケース・バイ・ケースかとは思いますが、その点をあえて無視して割り切ってしまえば、現地で勤務するまでに至る事情が根本的な理由です。前者は「自らベトナムに就職するのだから物価に合わせて低く」なり、後者は「会社がベトナムに行かせるのだから手当てが付いて高くなる」、という理屈です(言葉の表現はともかくとして)。この概念こそが、冒頭で書いた「国を横断して共通する特徴」だと考えています。どこでもあるみたいですね。
ただ、単純に「給料が高い・低い」だけでは語れず、ベトナムでは重要な足となるバイクに乗ってもOKだったりNGだったり、現地での任期があったりなかったり、何を優先するかによって「現採」と「駐在」の一長一短はあるでしょう。とはいえ、お金は大切。「給料が高い駐在員の方が良いに決まってる!」と思われる方もいるかと思いますが、ほとんどの駐在員の方は日本での勤務を経験された上で来ているので、「ベトナム(海外)で駐在員として働きたい!」と言っても、よほどの計画性や熱量や、そして何よりも運がなければ難しいでしょう。事実、そうやって実現できた人は一人も会ったことがなく(会ってないだけかもしれませんが)、むしろ逆に「駐在員として赴任する社員もいるけど、確実にベトナムで働きたいから退社して現地法人に再就職した」という友人もいたほどです。
ただし、現採は比較的副業が許されているケースが多い!ロコタビで副業もアリ!?
これも会社によってケースバイケースですが、現地採用の方は日本の本社(あれば)と雇用関係にないという背景もあってか、比較的副業を許されているケースが多いように感じます(そもそもベトナムの多くの現地企業が副業に対して寛容的です)。現採として業務を行う一方で、副業での収入が大きくなったので退職して本業に専念…といったり、または同業や近しい業種で独立したという話はよく聞きます。
改めて、今読まれているメディアは「ロコタビブログ」。ロコタビは、世界のおよそ1350都市に住む10,000人以上の在住者にお仕事を依頼できるサービスです。「現採として得られる自由は楽しみたいが、お金もほしい!」という方は、観光案内や市場調査などで副収入を得るというワークスタイルもアリかもしれません。
筆者プロフィール
ベトナム在住ライターです。おもにインターネットで書いています。ドリアンマンと検索すると出てきます。