【ロコインタビュー】現地の日本人だからこそのサービスを。ゆったりとした時間が流れる美しい街ブダペスト在住ロコ・ケイさん
2020年2月5日 ブダペストロコ活海外在住日本人インタビュー
ロコタビは、海外在住の日本人(=ロコ)が旅のお手伝いをしてくれるサービスです。観光案内や送迎、ビジネス通訳、レストランの予約、その他さまざまな現地でのサポートなど、自分のしたいことを自由にロコにお願いできるサービスです。
※ロコ=ロコタビに登録している現地在住日本人
この記事では、現在海外で活躍中の日本人ロコにインタビューをし、現地の情報や海外に移住するまでの経緯、日々の生活などをご紹介します。
今回インタビューさせていただいたのはハンガリーのブダペストに在住のケイさん。
2005年に移住しハンガリー在住歴は14年を超えているそうです。
現地の旅行会社で働いたのちに独立し、現在はフリーランスで通訳や観光案内をされています。
国家資格もお持ちで、英語やハンガリー語も堪能なプロフェッショナルです。
ハンガリーに導いた語学留学での出会い
|まずはハンガリーという国に移住されたきっかけを教えて頂けますか?
ハンガリーに来る前は、私自身この国のことをよく知りませんでした。
そんななか移住したきっかけは27歳から30歳の間にしていた語学留学での出会い。
イギリスのロンドンで英語を学んでいたのですが、同じクラスで出会ったハンガリー出身の女性とお付き合いをするようになり、のちに結婚することになります。
結婚後は彼女の家族の都合もあり、わたしがハンガリーに移住することになりました。
残念ながらそのパートナーとは離婚することになってしまうのですが、現在12歳になる娘もハンガリーにいるので現在も引き続きハンガリーで生活をしています。
移住を決意した理由はもう1つあって、航空管制官だった父の影響で英語を使ってグローバルな舞台で仕事をしてみたいという気持ちを持っていたことが挙げられます。父はいつも英語とコンピュータの勉強をしておけと言っていましたね。
ロンドンでの留学で英語を勉強するという1つの目標を達成した当時は、その英語を使っていよいよ海外の国での仕事に挑戦してみようという気持ちがあったので、ヨーロッパへの移住には前向きでした。
|前向きではあったということですが、実際に移住してみてどうでしたか?
これを言うと色々な方に驚かれるのですが、実は27歳で留学のために渡英したのが私の人生初の海外経験だったんです。だからもちろんその流れでハンガリーに移住するのに多少の不安はありましたよ。
でも当時のパートナーが日常的にしっかりサポートしてくれましたし、パートナーの知人として出会ったハンガリーの人たちもみんないい人だったので安心していました。
移住してからは現地語であるハンガリー語の勉強をする必要もあったので大変ではありましたが、外国人だからといって差別されることもなく、今までずっとこの地で生活ができています。
|冒頭から濃ゆい人生のお話をありがとうございます…!
もちろんお客さまのプライベートに立ち入ることはないですが、私ははじめから自分のことを隠さずフランクにお話しして、「何でも聞いてください」というスタイルでやっているんです。そのほうがお客さまとの話が広がることもあるし、私自身もやりやすいです。
ドナウ川のようにゆったりとした雰囲気の街、ブダペスト
|ハンガリーという国のどこが気に入っていますか?
私は写真が趣味なので撮影のためによく街を散歩をしますが、大きなドナウ川のゆったりとした時間の流れは今の自分のライフスタイルに合っていて好きだなと感じます。
ハンガリーの首都は工業化で近年発展しており中心部は忙しい雰囲気でもあるのですが、もともとは農業国。素朴なハンガリーの方々の人柄にもひかれます。
あとは昔ながらの建物が街にたくさんあり、どうしてもカメラのシャッターを押さずにはいられないようなヨーロッパの素敵な景色が日常的に広がっています。
わたしは日本で学生やサラリーマンをしていた時期がありますが、そのときのテンポに比べるとブダペストの雰囲気は本当に穏やかです。そんなゆったりとした街の雰囲気に自分も現地人として溶け込んでいることを日々感じます。
お客様のお話からよい旅のヒントが生まれる
|次にロコとしてのお話を伺ってもよろしいでしょうか。ロコとして活動していて、どんなときにやりがいを感じますか?
お客様の表情や会話にはヒントがたくさんあります。そこからお客さまのお好きなものを察知し、深堀りして提供できたときの喜びはロコの活動の醍醐味だと思っています。
例えば以前ブダペストにいらっしゃった日本人の方で、口数の少ないお父さんがいらっしゃいました。その方は旅の中でハンガリーの蒸留酒パーリンカがお気に召した様子だったので、その後の道中の休憩や食事のたびに用意させていただきました。
お父さんはリラックスした様子でだんだんと雰囲気が変わり、第一印象からは想像できないほどたくさんの会話が生まれました。
女性だとスイーツがお好きな方が多いですよね。スイーツを好まれそうだなというお客さまをハンガリー王妃の行きつけであった歴史あるカフェ・ジェルボーにお連れすると、そこでまたお客さまとの話が広がったり和んでいただけたりすることも。
それぞれのお客さまに合った素敵な体験を提供できるチャンスを見逃さないように、お客さまのお話にはしっかり耳を傾けるようにしています。
わたしはブダペストに住んでいますが、お客様の要望や好みに合わせてブダペスト以外の街にお連れすることもありますよ。
|日本でのハンガリーのイメージをどう思いますか?
一昔前はハンガリーのことを全然知らないというお客さまも多く、どこにお連れしても驚かれることが多かったんです。
現在は情報社会なのでインターネットで多くの情報が得られますし、メジャーな出版社以外からもハンガリー含めた中央ヨーロッパにまつわる本が何冊も出るようになりました。
そんな背景もあり、ハンガリーのことを事前によく調べておりハンガリーへ高い期待をもって訪れる日本の方も増えました。
わたしはそんなお客さまの期待を上回る体験を提供できるように、以前にもまして事前準備をしっかりしています。
たとえば夜景1つとっても現地に住んでいると、王道のアングルとは違ったアングルで見ると雰囲気の異なる景色があるということを知っていたりしますし、やはりロコのサービスには現地に住んでいる人が案内するからこその価値があると思うんです。
今日も散歩中にドナウ川に架かる橋を見ていたら、このアングルで夜景を見たら絶対に美しいだろうなあと思うポイントを発見したんですよ!
日本とハンガリーの懸け橋になるような仕事に挑戦したい
ケイさんはJFN系列で25時~全国放送されているラジオ番組、「ON THE PLANET」の2019年12月10日収録分にハンガリーの事情を知る現地在住日本人としてゲスト出演され、ハンガリーの結婚事情についてお話しいただきました。
当時の音声は以下のリンクから聴くことができます。
(外部サイト)『12月10日(火)【ハンガリー】結婚ブーム!?』 – ラジオのエンタメアプリJFNPARK♪
|ケイさんは昨年、ロコとしてラジオ番組にも出演されたんですよね。
わたしは目立ちたがり屋というわけではないのですが、日本の方々にハンガリーのことも知ってほしいし、ロコとしての活動のアピールもしたかったので、これはいいチャンスだと思い二つ返事で引き受けました。
全国放送だったということもあり、電話口ではありましたが緊張してあっという間に時間が過ぎたことを覚えています……!
|近い将来やりたいことや次の目標はありますか?
2020年はオリンピックイヤーという日本が世界から注目される年。
これまでは日本からハンガリーにいらした方々を案内することが多かったのですが、ハンガリーの人を日本に連れていき日本の案内をするというお仕事があればやってみたいと思っています。
日本とハンガリーの懸け橋になれるようなポジションの仕事があれば、現在のフリーランスの身を活かして積極的にかかわっていきたいですね。
あとは政治や工業などの専門分野にも精通できるように語学のブラッシュアップも頑張りたいです。
日常会話は問題なくても、やはり外国語で専門分野を扱うというのはそれなりの勉強が必要ですからね。
|最後に、ロコタビへの登録を検討している方に一言いただけますか?
”同じ日本人として”というのがロコのテーマの1つだと思うので、海外の土地に住んでいるのならぜひ登録してみてください。
自分なりの形でいいと思いますが、工夫や努力をしてお迎えした日本人の方に満足いただけた時、お金以上の喜びを感じることができるはずです!
ロコとしての経験が豊富なケイさんに、ライターの個人的な疑問として「もし案内するお客さんの行きたい場所が突発的に行けなくなるようなトラブルがあったらどうしていますか」と聞いてみました。
すると、そうならないよう事前にお客さんと打ち合わせているけど、外的要因でそうなってしまった場合はしっかりお詫びしてその残念な気持ちを上回るような代案を出す努力をしていると教えてくださいました。
旅行業界では”better change”という言葉があるそうですが、機転の利いたよりよい代案はお客さんの心に強く残るのだそうです。
ケイさんのように現地にいる自分だからこそできる”よりよいサービス”を日本人の方に提供してみませんか?お客さんを案内する中で自分自身も多くの気づきがあるそうですよ。興味のある方はぜひロコに登録してみてくださいね。
(取材・文=miya888)