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「ブラジルに遊びに来たら?」と誘われて、サンパウロで人気の居酒屋を経営する村中さん

2016年9月2日 海外在住日本人インタビューブラジル

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ロコタビは海外在住日本人が輝ける場所を提供する「日本人のための海外プラットフォーム」。
この記事では、現在海外で活躍中の日本人の方に直接インタビューし、現地での事や海外に行くまでの経緯、日々の生活などをご紹介します。

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今回インタビューさせて頂くのは、ブラジル在住8年の村中さんです。
村中さんはサンパウロで人気の居酒屋『Quito Quito』を経営されています。
さっそくお話を聞いてみたいと思います。

ブラジルに住むことになった経緯を聞かせてください

もともとは東京の出版社でサラリーマンをやっていたんですけど、その会社を退職して数ヶ月のんびりしていた時に、仲の良い友達から「ブラジルに遊びに来たら?」と誘われました。彼女はイタリアへ留学して、同じく留学生だったブラジル人の旦那さんと結婚してブラジルに移住していたんです。ブラジルに遊びに来たら「せっかく来たんだからちょっと長めに居たらどう?」と言われて、彼女の紹介でサンパウロにある会社で働く事になりました。最初は一年の予定だったのですが、ブラジルでの生活が気に入って結局二年間その会社にお世話になりました。

その会社ではどのようなお仕事を?

貿易会社だったので、最初は日本食材や日本の雑貨の輸入をしたり、ブラジルの商品を輸出する仕事のお手伝いをしていました。後に、外食事業に携わるようになりマーケティングみたいな事をしたり、仕入れたものを自分たちで売る、というような事をしていました。

飲食店を経営することを考えたのはその頃から?

飲食店にはもともと興味がありましたね。出版社で働いていた時も、飲食店関係の本を出す事が多かったですね。最後に作った雑誌も飲食店のグルメ本でした。食べるのも好きですし、学生時代は飲食店でアルバイトをしていたので、「いつか自分の飲食店をやりたいなぁ〜」と漠然と思っていたのが、こちらに来て具体的になったというか、本当にやりたいなと思うようになりましたね。そしてブラジルに来て3年目くらいから自分の店を出すために準備を始めました。

現在のサンパウロでの生活について教えてください

ほとんど仕事ですね(笑)夕方からの居酒屋経営の他に、お昼はお弁当もやっているので、朝9時頃からお弁当の準備をして、お昼に配達して回って。その後は事務仕事をして、時間があればランニングをして、少し寝て、夕方6時から居酒屋の仕事が始まる。月曜日から土曜日はその繰り返しですね。日曜日はお店が休みなので、サーフィンしに行きます。私は島の出身で昔からサーフィンだったり海の遊びをしていたので、週に一回の休みの日は朝から海に行きますね。サーフィンの後、お昼くらいにサンパウロに戻ってきて、ビールを飲んだりのんびりして過ごします。ホントこの繰り返しです。

サーフィンはサンパウロ周辺で?

サントスの隣にグアルジャという街があるんですけど、ビーチが凄く綺麗で波も良いのでそこへ行きますね。去年の世界チャンピオンはグアルジャ出身ですね。2年連続でサーフィンの世界チャンピオンはブラジル人なんですよ。2人ともサンパウロ出身のサーファーです。昔はそうでもなかったんですけど、ここ10年くらいでブラジル人のサーファーが頭角を現していて、ブラジリアン・ストームと言われています。優勝した2人以外にも凄く良いサーファーがいっぱいいますよ。

経営されているお店について教えてください

日本の居酒屋なんですけど、こちらでよくある昔ながらの居酒屋というよりは、現在の東京にもあるような美味しいおつまみだったら何でもありますよ、という感じでやっていますね。というのも、私がこちらに来たばかりの頃に色々なお店に行ったんですけど「こういうのあったらいいのにな」っていうメニューが無かったり「このお店ドンピシャじゃないの」と思うようなところが無かったので、それなら自分で作っちゃった方が早いなと思いました。
店の特徴としては、日本人が日本人のために作るような味ですね。最初はブラジル人に本場の和食を知ってもらいたいと思って、サンパウロでも有数のバーが多いヴィラ・マダレーナを選んだんですけど、ブラジル人にとって日本食って、寿司・刺身なんですよね。うちが出しているような居酒屋メニューっていうのはまだブラジル人には浸透していないんです。お客様は8割が日本人ですし、特にブラジル人の好みに合わせているとかではないですね。

ブラジルに居ながら、イカの塩辛、一夜干し、魚の煮付けが食べられる

ブラジルに居ながら、イカの塩辛、一夜干し、魚の煮付けが食べられる

妹さんが料理を担当されているとお聞きしましたが?

そうなんですよ。料理の責任者は私の妹です。彼女はずっと料理人をやっているので、開店に合せてブラジルに来てもらいました。毎年スペインで2〜3週間過ごすほどスペイン料理が好きで、神奈川のスペイン料理屋さんでも8年くらい働いていたんですけど、もともとは和食から入っているので、彼女が得意なスペイン料理と和食が多いですね。和食だと海鮮系のお酒に合うようなおつまみだったり。他にはタイ料理やベトナム料理などのアジアン・エスニックの料理も出していますね。

スペイン料理が得意な妹さんによる創作料理はどれも美味

スペイン料理が得意な妹さんによる創作料理はどれも美味

近々ジャルジン地区に移転するとか?

来年の1月に移転を予定しています。先ほどお話した通りうちのお客様の8割は日本人なんですが、みなさん中心地からここ(ヴィラ・マダレーナ)までタクシーで40〜50分かけていらっしゃるんです。サンパウロの夕方は特に渋滞が酷いので下手すると1時間以上かかる場合もあるんですね。以前から「もう少し近くにあったら頻繁に来れるのに」とのお声も頂いていたので、日本人の駐在員の方が多く住むジャルジン地区へ移転することにしました。アヴェニダ・パウリスタからも700mくらい下ったところなので、お客様に来て頂きやすくなると思います。

近い将来やりたい事や次の目標などはありますか?

まずは移転する今のお店を軌道に乗せて、サンパウロにもう1,2店舗違う業態でお店を開けたらいいなと思いますね。例えばですけど、今居酒屋とお昼のお弁当配達の他に、自家製の干物や燻製を作って販売する物販もやっているので、その3つをそれぞれ独立させて規模を大きくできたらいいなと考えていますね。今朝も朝の3時起きで魚を買い付けに行って来たんですけど、今は買い付けから仕込みまでほとんど私と妹でやっているので、人を増やしてもう少し自分たちの負担を減らしたいなとも思っています。

『Quito Quito』経営者の村中さん

『Quito Quito』経営者の村中さん

ブラジルのコトを教えてください

ブラジル全人口約1億9000万人のうち160万人が日系人で100万人がサンパウロに住んでいると言われています。かなり親日だと思うので、居心地がいいですよ。同世代や若い子と話をするとアニメや漫画にも詳しいし、日本に対して興味津々なんですよね。日本人の事も大好きですし。日本人に対して「真面目で、勤勉で、正直」という印象を持っているからなのか、信用されやすいです。それは日系移民の人たちが頑張ってこられたお陰です。日系移民の方達がすごく苦労して赤土の農地を耕して畑を作って、野菜を作って、後世の教育に力を入れたので二世三世で成功している人も多いですし。こちらに来た時に日系人の方々にはとてもお世話になったので、私も日本に帰ったら日本に居る日系ブラジル人のために何か出来ることをしたいなと思っています。

ブラジルの好きなところは?

自然と人ですね。とにかくデカイ国ですしスケール感が違います。海も山も森も良いし、野生の動物はいっぱいいるし、ワクワクしますよね。ブラジル国内旅行も結構したんですけど、別の都市に行くのに飛行機で4時間とか6時間かかるんですよ。日本だったら4時間あれば台湾に行けちゃうし、6時間あればフィリピンに行けちゃいますよね(笑)車で走っていても、広大な土地に驚きますね。田舎の方に行くと360度地平線いっぱいに広がる芋畑の中に一本道があるとか。そういう景色を見ると凄いな〜と思いますね。
人っていうのは、ブラジル人は人懐っこいんですよね。サンパウロは都会ですけどみんな素朴というか。8年住んでて道を聞いて無視された事も一度もないですし、自然に世間話が始まったりしますしね。

日本とブラジルの文化の違いについて

人生での優先順位が違いますね。ブラジルでは「家族>友達>仕事」の順ですけど、日本はおそらく逆ですよね。家族や友達を支えるために仕事が一番になっているというか。ブラジルではみんな家族が優先なので、例えば会社で「田舎からお母さんが出て来ているので空港まで迎えに行かなきゃ」と言ったら、同僚達は「あぁそうか。気をつけてな!」と快く送り出すのが普通なんですね。日本だと身内に不幸があっても仕事に出るのが美徳とされていたりもして。どちらが良いのかっていうのは自分の中でもまだ答えが出てないんですけど、あまりにも両極端なので足して二で割るのがちょうど良いのかなと思いますね。
家族の仲が良いから、反抗期もないみたいですね。周りの話を聞いていると親と良い関係を築いている人が多くて、反抗期って聞いた事ないですね。日本だと子供を所有物みたいに思っている親も多くて凄く干渉しますけど、こちらは干渉しないというかオープンなので、中高生くらいでも恋人がいたら家に連れてくるのが普通です。親も夫婦で恋人同士のようにしていますし、「お互い人生を楽しみましょうよ」みたいなところが良いですね。
あとは、良くも悪くもブラジル人はワガママですね。みんな自分が人生の主役だと思っていて、自分に自信を持って人生を楽しんでいますね。誰かの脇役になるようなことはないので、一人一人の人間が濃いですね。日本では家でも学校でも「他人に迷惑をかけないように」と言って育てられますけど、ブラジルは「人に迷惑をかけても良いけど、自分も人を許して人を助ける」という考え方なんですね。どちらも社会生活を円滑にするという根本は同じだと思うんですけど。どんな人でも人に迷惑をかけずに生きて行くなんて無理だと思うので、それを自覚するかしないかだと思うんですね。ブラジル人はワガママでテキトーだけど「お互い様だから」というところがあると思いますね。

ブラジルで暮らす上で心得ておいた方がいい事

ブラジルだけでなくどこの国でもそうですけど、日本と比べると不便なことが多いですが、そういうところばかり見てしまうとストレスが溜まるので、違いを楽しんだ方がいいと思いますね。序列をつけずに「違う」ということを楽しめばストレスにならないかと思います。
あとは、ブラジルは酔っ払いに対して凄く厳しいですね。日本のようにお酒を飲んだら無礼講みたいなのは無いですし、公衆の面前で酔っ払った姿を見せたり、喧嘩したり、人前で誰かに怒鳴ったりするのは、マナーがなっていないとか教養が無いと思われますね。

ブラジルに旅行で来る方へのアドバイス

やっぱり治安ですかね。基本危ないので(笑)周りに溶け込むような服装をするとか、持ち物に気をつけるとか。それから情報収集も大事だと思いますね。旅行者だけじゃないですけど、トラブルに巻き込まれる人はどこにいっても巻き込まれるし、トラブルに巻き込まれない人はどこに行っても巻き込まれないんですよね。例えばですけど、ライオンやハイエナがウロウロしているようなサバンナに行くとしたら、夜中ひとりで出歩かないですよね?猟銃を持つガイドを付けない限り。それと同じだと思いますね。最近、危ないエリアのホテルに泊まっている女の子だけのグループも見かけますけど、そのエリアが危ないっていう事を知らないで泊まっているんですよね。何を根拠に自分たちは大丈夫だと思っているのかな?って凄く不思議ですね。危ないところが面白いっていうのも分かりますし、情報収集をしてから目一杯遊ぶなら良いんですけど、情報を持たずに遊ぶのは危険だと思いますね。
治安以外だと、これだけ大きくて色んな人種や色んなルーツを持つ人々が一緒に暮らしている国ってなかなか無いんですよ。食はバリエーションが多くて美味しいですし、お酒もそうですけど、日本で知られていない良いものがたくさんあるので、いろいろ見てから帰って欲しいですね。それからブラジル人は良い人が多いので、どんどん話しかけて友達になってみてください。

最後にサンパウロとリオのお気に入りの場所を教えてください

ヴィラ・マダレーナが好きですね。日本で言うと代官山と下北沢を足して二で割ったようなところで、昼も夜も楽しめる街です。ブラジル人のためのバーがたくさんあって、サンパウロで夜一番元気な街だと思いますよ。飲むのも良し、クラブで踊るもの良し、サンバ聞くのも良し。アーティストが多く住んでいるエリアなのでギャラリーも多いです。ちょっとした可愛い小物だったり、アトリエで手作りしているような靴やカバンもあったりするのでショッピングも楽しめますよ。プラザ・ダ・ポル・ド・ソールという夕日が見える公園も良いですよ。夕方になるとみんな集まってきて、シート敷いてビール飲みながら夕日を見てますね。

いかがでしたか?
ブラジル滞在中に日本の味が恋しくなったり、お酒と一緒に美味しいおつまみが食べたくなったら、居酒屋『Quito Quito』に行ってみてはいかがでしょうか?
村中さんも旅行好きでブラジル国内を色々旅されているので、運が良ければお話が聞けるかもしれませんよ!

村中さんが経営するQuito Quito
Web: http://quitoquito.com.br/
Facebook: https://www.facebook.com/izakayaquitoquito

[取材・編集:三谷めぐみ]

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