香港を在住者に案内してもらうはずが五年ぶりの大型台風に巻き込まれた話 <ロコタビ利用体験記>
2017年9月12日 ライター寄稿ロコタビ利用体験現地案内・送迎・相談など
はじめて行く国って、心配事が多いですよね!
物価…移動手段…現地での習慣…それが商談などのビジネスだったら、なおのこと。
そこで頼りになる存在がロコタビ!1400以上の都市に住む1万人を超える日本人(ロコ)が登録しているウェブサービスで、送迎・現地案内・商談サポートなど、現地を知る人だからこそ可能な仕事を依頼することができます!と言ってみたところで…ロコタビ、使ったことないんですよね。後述するQ&A以外。
そこで今回は私、ライターのネルソン水嶋が、体験レポートを書くべく初訪問となる香港へ飛んでみました。
の、ですが…まさかのまさか、予想外の嵐吹き荒れる展開に…!?(タイトルバレしてますが)
まずは渡航前にロコと入念な打ち合わせ
まずは、香港で取材のサポートをお願いするロコを探します。
香港のリストを見ると…ムム、多いな!200人以上のロコがいました。
プロフィールやQ&Aなどでの受け答えを見ながら運命(?)のロコを探します。
りんさんという、在住歴も21年と長く、笑顔の素敵なこちらの女性にお願いすることにしました!
さて、体験そのものが目的とはいえ、そこは良い写真が撮れる場所に連れて行ってもらいたいところです。
ここで通常の観光旅行だったら、自分でネットで調べたりガイドブックを買ったりすることになります…が!
ロコタビなら、お仕事を依頼する前の段階からロコに相談することが可能です。
プロフィールでは分からないことは聞けるし、人柄などの印象もやりとりで判断できるということですね。
では早速…
筆者
はじめまして、水嶋です。ロコタビブログでの体験レポート執筆のため依頼させていただきました。『ロコだからこそ知っている場所』をご案内いただくことは可能でしょうか?よろしくお願いいたします
りんさん
ご連絡ありがとうございます。場所は、最近香港観光局が力を入れているセントラルのストリートアートと世界中のインスタグラマーの人気スポットなどはいかがでしょうか。 それ以外でもパワースポット巡り、恋愛の神様巡り、ハイキングコース、下町マーケット巡り、お洒落なバー巡り…などでも可能です
二時間以内にお返事をいただけました!そして、さすがは在住21年目のりんさん。「取材なので写真映えする場所」をリクエストしたところ、ポンポンと返ってくるナイスな提案、ありがたい。候補先のひとつは時間を掛けて撮影したかったため別日にひとりで行くことにして、少しだけ変更をお願い。こうしてネット越しで入念に打ち合わせできる点は助かりますね。さて、スケジュールは固まり、あとはその日を待つだけです。
ちなみに、当日までに17通もやりとりさせていただきました…ありがたや!ありがたや!
なお、質問のみであればこちらのQ&A機能が利用できます。
現地に住むロコへ一度に質問、理想的な回答をされた方にお仕事を依頼するというアプローチも良さそう。
えっ!このタイミングで!?5年ぶりの大型台風が香港直撃
そしていよいよ香港到着!
夜空のような街灯りが美しい夜景を眺めながら、明日を楽しみにしつつ就寝。そして、翌朝…
私は、
暴風雨に真っ只中におりました。
何事!?と思ってテレビを付けてみると、
台風警報のため交通機関が停まっている、との画面。マジか、マジなのか。
お分かりですか?窓は締め切っているのに揺れています。風でビルが揺れているのです。
土地が狭く細長いビル、かつ海沿いの都市のため暴風の煽りを受けやすい。
最初は台風の上に地震!?と思っただけにひと安心…していいのか!?いずれにせよ揺れは怖い…。
ここで実を言うと、二日前の時点でりんさんから台風の件は伝えられていました。
りんさん
香港に台風が近づいていて、水曜日に大接近との予報が出ております。もし警報が発令されたら、変更しなければいけないこともあるかもしれませんのでご了承ください。雨具もお忘れずに!
そして、前日のメッセージがこちら。
りんさん
現在台風のシグナル3が発令されていて、明日の朝はシグナル8になる可能性が高いです。そうなると交通機関やお店は全部クローズになりますので、ご案内ができなくなる可能性もあります。また明日の朝、状況を確認してからご連絡させていただきますね
香港では暴風域に入ると、交通機関やお店がすべてクローズ…!?
これは知らなかった!りんさんに教えてもらわなかったら駅まで無駄足を伸ばしていたかもしれません。
だからといって何もせずには終われない。台風が来たのなら台風を取材するか、ということで相談です。
筆者
観光ができなかった場合、香港の台風事情の取材に切り替えることはできますか?
りんさん
はい。台風後の街中はびっくりするくらい静かで、それはそれでおもしろいと思いますよ。台風にちなんで、ランカイフォンという繁華街にある『ストーミーズ』にご案内しようかと。台風の被害は郊外が多く、街中で見られるかわかりませんが、スタチュースクエアに樹木が多いので倒れているかもしれません
よかった!
あいにくの台風でしたが、警報解除後に台風事情をテーマに据えて取材することになりました。
シグナル(警報)は夜18時に解除され、りんさんとはその一時間後の19時頃に合流。
台風後の街を歩き…
セントラル(中環)駅前で待ち合わせ。
警報というよりもはや号令!?香港の台風事情
筆者
いやいや、会えて本当によかったです!
りんさん
本当ですね!これくらいの台風もこの数年はなかったのですが…
待ち合わせ場所に指定したスタチュースクエア、激しい嵐の爪痕が残っていた。
それなりに太い枝が、ポッキリと折れています…。
筆者
取材のテーマ、台風事情に切り替えようと思っています。関連した場所などありますか?
りんさん
それでは『ストーミーズ』というバーのあるランカイフォンに向かいましょう!普段はたくさんの人で混雑しているエリアなのですが、台風のあとなので空いていて歩きやすくなっていると思います
筆者
はい!よろしくお願いします
ここはいつもであれば帰宅中のタクシー待ちの人で溢れ返るとのこと。
イギリスの植民地時代(1912年)から存在する旧立法會大樓。
りんさんに、建造物などを紹介してもらいながら移動します。
筆者
それにしても、香港では警報によって全ての交通機関が閉鎖するということに驚きました
りんさん
そうですね。日本の気象庁に当たる香港天文台が発令するシグナルと呼ばれる警報があり、『1』が警戒準備、『3』が強風に相当して一部の学校が休校、『8』がほとんどのバス・電車・フェリーなどの交通機関がクローズして学校や会社は休み。『9~10』はそれ以上の…外出せずに窓から距離を置けというレベルですね。今回のシグナル10は五年ぶりです
筆者
五年ぶり!初めての香港、たった二泊三日の滞在で…とんでもないクジを引いてしまいましたね
翌日配られていた号外によると、五人もの死者が出たらしい。
現場の写真が掲載されているところに各所に監視カメラがあるという点が見て取れる。
こちらは「シグナル10」が表示されたときのスクリーンショット。
ちなみに台風に付けられた名前は「ハト」…間は抜けているけれど、あまりにも凶悪です。
筆者
ここまでの災害だと、香港で動いているサービスってあるんですか?
りんさん
交通機関もお店も閉まりますからね…関係ないとしたらホテルくらいでしょうか
筆者
なるほど。天候の地域差が小さいということもありますが、オン・オフの切り替えが明確ですよね
りんさん
それは香港の特徴かもしれませんね。会社の同僚と飲みに行くということも多くなく、仕事とプライベートをハッキリと線引きするところがあると思います
筆者
うーん、いかにもビジネスシティっぽい
りんさんの家の周辺の被害状況、そりゃビルも揺れる訳だ…。
ロコ・りんさんについて話を聞いた
ところで、ロコってどんな人なんだろう?
ここでりんさんご自身のお話もうかがってみました。
りんさんのお写真。香港ではこんな風景も撮れるのかー。
筆者
りんさんは香港に住まれて長いんですか?21年でしたっけ
りんさん
それより少し長く今年で23年になりますね!1994年なので返還前(1997年)からいます
筆者
長い!個人的に興味があるのですが、イギリスから中国への返還前後で変化はありましたか?
りんさん
しばらくはなかったのですが…10年ほど経ったあとから少しずつ中国の影響が強くなってきましたね。たとえば、以前はイギリス人はビザなしで働けたので、とくにパブなどで働いている姿をよく見かけていたのですが、それが徐々に消えていって。カスタマーセンターなどでの応対言語も英語・北京語・広東語の優先順が北京語が最初に来るようになって。ほかにも、子どもがインターナショナルスクールに通っているのですが、北京語の授業の頻度も週一から毎日に変わりました
筆者
うわー、すごい顕著ですね!
高すぎてこの角度が限界ですが、こちらは「ジャーディン・ハウス」。
1972年に完成した52階建の高層ビルで、当時はアジアで最も高かったとのこと。
セントラルにある、世界一長いエスカレーター。
香港は土地の狭さから山の斜面を切り拓いてアパートが建てられているため、高台から通勤する人が多い。
筆者
ロコタビはいつ頃からはじめました?
りんさん
登録は去年のはじめの方ですかね、本格的に依頼を受けはじめた時期は後半でした
筆者
ということは活動は実質一年弱ですか?
りんさん
そうですね
筆者
これまでにどれくらい案件を受けました?
りんさん
20くらいでしょうか、月に2~3は受けています
うーん、香港感漂う風景!
高低差のある街だけあって坂道が目立ちます。
筆者
香港ではどのような案件が多いでしょうか
りんさん
銀行での手続きなどでサポートしてほしい、という依頼が多いですね
筆者
あー、香港といえばHSBCですもんね。金融都市のイメージがあります
りんさん
はい。ほかに展示会の商談のサポートなどがあります
筆者
それは現地の言葉で?
りんさん
いえ、商談となるとやはり英語のやりとりが多いので
筆者
なるほど。現地での商習慣を知っているかどうかはかなり価値がありそうですね
こちらはハリウッド・ロード。
映画の街の?と思いきや、こちらの方が先に命名されていたんだとか。
各所にはウォールアートが見られ、
ポップアートの街!という印象でした。
絵になるなぁ~。
筆者
普段はどのようなお仕事をされているのですか
りんさん
学校運営です
筆者
学校運営!すごいですね!?
りんさん
ほかにも、香港在住のライターとして雑誌やウェブサイトに寄稿したり、通訳などもしています。去年は、共著で香港のワーキングホリデー事情についての書籍を執筆しました
筆者
バイタリティありますね…
「ストーミーズです」「あ、ここか!」
このゴチャゴチャ感、まさにイメージ通りの香港シティ。
このあと、りんさんとは現地で夕食をとって解散。
朝10時からの予定だったのですが、警報解除後の夜19時から夜遅くまでご対応いただきました。
ロコタビが提供するものは、「現地在住の友人」の代打だ
五年ぶりの大型台風との遭遇。そのようなどうしようもない理由により当初想定していた場所には行けなかったのですが、それはそれで、りんさんのお陰で、台風の香港を満喫できたし勉強になったなと思っています。これは香港に50回飛んでも味わえない体験だったでしょうし、個人的にはとても満足しています。
そこでロコタビのサービスの実体って何だろうと考えると、それを言葉にすることはとても難しい。今回は私が、「香港」の「りんさん」に「台風にまつわる案内」をお願いした結果であって、決まった実体なんて最初からないんですよね。それでは価値は何だろうなーと思ったときに、ふと「友人」という言葉を思い浮かべました。
こういうことしたいーと言えば教えてくれたり、台風が来てるから危ないよーと教えてくれたり、りんさんの対応はまるで現地に住む友人のようでした。こういった存在がいるかどうかって、完全に縁次第ですよね。しかし、観光や出張などの理由があってその土地に行きたい、行かなければならない。それでも勝手が分からない…友人でもいてくれれば…そんなときに、友人の代打を紹介できるサービスがロコタビなのだと思いました。
今、世界各地に住む日本人は130万人以上いると言われています。
同時に日本から飛び出す人も増えており、ロコタビが利用される機会が増えると良いなと思います。